とある川岸で偶然の出会いを果たした、新三郎(大沢樹生)とお露(木りな)。すぐにお互いに運命を感じ、惹かれ合うのだが、新三郎は二束三文の傘張りで生計を立てている浪人、かたやお露は旗本の息女。また、彼女には生命にも危険を脅かす重度の喘息もちでもあった。身分が異なる二人が結ばれるには、大きな障壁があり、所詮は叶わぬ恋であった。そんななか、お露には、家計が火の車のお家を守るために、名家の子息との政略結婚の縁談が持ち上がっていた。さらに、お家を守ることしか頭にない父親は、お露の気持ちを顧みることなく、勝手に縁談を進めてしまうのだった。その一方で、新三郎とお露は、再会を果たし、次回も会うことを約束するのだが・・・。
しかし、その後ぱったりとお露から連絡は全く途絶えてしまう。お露に会うことのできない寂しさを紛らわすために、ろくに食事もとらずに一心不乱に傘張りを続ける新三郎。やがて、一ヵ月半が過ぎた日のこと―。新三郎の家にお米がひょっこり顔を出して、こう告げるのだった。「私はお嬢さまに幸せになってもらいたい。もしも萩原さまがお嬢さまを不憫にお思いになるなら、この先も会いに来ること、それだけでもお許し願えませぬか」と。お露に会いたい気持ちをぐっと堪えて、「会うわけにはいかぬ・・・。許せ・・・」と返すのがやっとの一本気な新三郎。それからは以前にも増して仕事に精を出す新三郎だったが、ある夜、どこか遠くから「カランコロン」と鳴り響く下駄の音を耳にするのであった。その音が確実に近づいていることに気が付いた新三郎は立ち上がり、家の戸を開けると、そこにはお米を連れたお露の姿があった。新三郎への募る思いを消すことのできないお露は、嫁ぐ日まで残された数日間、逢瀬を重ねたいと嘆願するのであった・・・。
元・光GENJIで俳優の大沢樹生が、主演と初プロデュースを務めて三遊亭圓朝の怪談噺を映画化したホラー時代劇。とある川岸で偶然の出会いを果たした浪人・新三郎と旗本の息女・お露はすぐに惹かれ合う。ところがお露に政略結婚の縁談が持ち上がり…。

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